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『テス』トーマス・ハーディ 純真な女性テスの過酷な運命

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ダーバヴィル家のテス』(Tess of the d’Urbervilles)は、イギリスの作家トーマス・ハーディの長編小説。1891年刊行。

登場人物

  • テス・ダーベイフィールド(テシー)……ウェセックスの片田舎マーロットの純真無垢な美少女。エンジェル・クレアと恋に落ちる。
  • アレック・ダーバーヴィル……偽のダーバーヴィル家の息子。情欲に溺れる堕落した青年で、テスに執念深くつきまとう。
  • エンジェル・クレア……エミンスターの厳格な牧師の息子。聖職に懐疑的であり、農業で生計を立てるためにトールボットヘーズ酪農場で働く。
  • ジョン・ダーベイフィールド……テスの父親。
  • ジョウン・ダーベイフィールド……テスの母親。
  • イライザ・ルイーザ(ライザ・ルー)……テスの妹。
  • エイブラハム(エイビー)……テスの弟。
  • ジェイムズ・クレア……エンジェルの父親。低教会派の厳格な牧師。
  • フィーリックス……エンジェルの兄。
  • カスバート……エンジェルの兄。
  • リチャード・クリック……トールボットヘーズ酪農場主。
  • クリスチアーナ……リチャード・クリックの妻。
  • メアリアン……トールボットヘーズ酪農場の乳搾り娘。
  • イズ・ヒューエット……トールボットヘーズ酪農場の乳搾り娘。
  • レティ・プリドル……トールボットヘーズ酪農場の乳搾り娘。
  • グロービー……フリントコーム・アッシュ農場主。労働者を酷使する冷酷な男。
  • マーシ・チャント……クレア家の隣人の娘。クレア夫妻はエンジェルの妻にと望んでいる。

あらすじ

第一段 処女

ウェセックスの片田舎マーロットの行商人・ジョン・ダーベイフィールドは、ダーベイフィールド家が旧家ダーバーヴィルの直系の子孫であることをトリンガム牧師から教えられる。ジョンはトラントリッジの屋敷に住んでいるダーバーヴィル家に親戚の名乗りをして、娘のテスの結婚の世話をしてもらうことにした(実際は、トラントリッジのダーバーヴィル家は旧家ダーバーヴィルの真の子孫ではなく、イングランド北部の商人サイモン・ストーク氏が南部で地方貴族を名乗るためにダーバーヴィルの家名を利用していただけだった)。

翌日、テスは父親のかわりにカスターブリッジに蜂蜜を配達するために荷馬車で出発する。ところが、郵便馬車と衝突事故を起こし、馬が死亡する。行商に必要不可欠の馬が死んでしまったため、ダーベイフィールド家は窮乏に陥る。テスは親戚のダーバーヴィル家に援助を請うためにトラントリッジに向かう。

テスはダーバーヴィル夫人の息子アレック・ダーバーヴィルに惚れられ、屋敷で養鶏場の世話係の仕事をもらう。四ヶ月後、アレックはテスを「猟林」に誘い込み、強姦する。

第二段 処女は失われた

テスはダーバーヴィル家の屋敷を抜け出してマーロットに帰る。アレックの子供を育てながら畑仕事をしていたが、子供は病気で亡くなる。テスは子供の死の間際に洗礼の儀式を行い、ソロウ(「悲哀」の意)の名前を与えた。

第三段 立て直し

テスがトラントリッジからマーロットに帰ってから二年の歳月が過ぎた。テスは遠方のトールボットヘーズ酪農場で働くことにした。テスは酪農場で農業の勉強をしている牧師の息子エンジェル・クレアに出会い、恋に落ちる。

第四段 因果

テスは操が汚されているためにクレアの求婚を拒否する。しかし、テスは自分の恋心を抑えることができない。ついに、テスはクレアの求婚を受けいれることにした。

ハネムーンの途中、クレアは過去にロンドンで淫行に堕したことを告白する。テスもアレック・ダーバーヴィルに犯され、自分の操が汚されたことを告白する。

第五段 女はつぐなう

クレアはテスが純潔な女性ではないことに絶望する。クレアはテスと別居して、ブラジル帝国に移住農民として行くことにした。一方、テスは酪農場を転々としながら臨時雇いの仕事で生計を立てていたが、次第に仕事が不足する。メアリアンに誘われ、テスはフリントコーム・アッシュ農場で働くことにした。

テスは、アレック・ダーバーヴィルと再会する。アレックはジェイムズ・クレアに諭され、過去の自分を反省して、現在は牧師として各地で説教をしていた。

第六段 改心者

しかし、アレック・ダーバーヴィルの改心は表面的なものであり、情欲に溺れてテスにふたたびつきまとう。一方、クレアはブラジルでテスへの愛を蘇らせる。

テスの父親が亡くなったため、ダーベイフィールド家の家屋敷の所有権が失効する。ダーベイフィールド家はマーロットを立ち去り、キングズビーアに出発する。

第七段 達成

クレアはイングランドに帰国する。クレアはテスの母親を訪ねて、テスの居所を訊き出し、サンドボーンの下宿「青鷺荘ヘロン」を訪問する。

クレアはテスに再会して、過去の言動を謝罪する。しかし、クレアから手紙の返事が長い間絶えていたために、再び、テスはアレック・ダーバーヴィルに屈服し、同居していた。クレアは呆然として、「青鷺荘」を立ち去った。

テスはアレック・ダーバーヴィルを殺害して、クレアを追いかける。クレアとテスは街道で合流して、警察からの逃避行に出発する。二人は「新森ニュー・フォレスト」で発見した空き家に潜み、幸せな時間を過ごした。しかし、管理人の老婆に見つかり空き家から立ち去る。ストーン・ヘンジで警察に追い詰められ、テスは逮捕され、死刑になる。

『テス』の映画化作品

  • 1979年(フランス/イギリス)
  • 監督:ロマン・ポランスキー
  • 出演: ナスターシャ・キンスキー、ピーター・ファース、リー・ローソン

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