本記事では、岩波ジュニア新書『英語なぞなぞ集』を紹介します。著者は翻訳家の中村保男。主にSFとミステリーの分野で活躍した翻訳家で、一般向けに英語・翻訳の著書も多数出版されています。「岩波ジュニア新書」は児童向けの新書シリーズではありますが、大人の方でも楽しむことができる内容になっていますよ。
『英語なぞなぞ集』岩波ジュニア新書
『英語なぞなぞ集』は9章構成、全92問の英語のなぞなぞが紹介されています。見出しのなぞなぞの解説以外に、同じパターンのなぞなぞ、豆知識、英文法の簡単な解説もされています。
【目次】
- Ⅰ 雨が降ると上に行くもの
- Ⅱ 独立宣言はどこで署名されたか
- Ⅲ 初めは円で二番目は十字のもの
- Ⅳ 怪物に話しかける良い方法
- Ⅴ アルファベットにない文字
- Ⅵ ビガーさんと赤ん坊、どちらが大きいか
- Ⅶ 肥った犬とかけて何と解く
- Ⅷ 落ちたハンプティ・ダンプティ
- Ⅸ クリスマスのご挨拶
なぞなぞは2種類に分けることができます。ひとつは「翻訳できるなぞなぞ」で国際的・普遍的な性質を持っています。もうひとつは「翻訳できないなぞなぞ」で別の言語に翻訳してしまったら意味が通じないものです。Ⅰ~Ⅳ章まで「翻訳できるなぞなぞ」が、Ⅴ章以降は「翻訳できないなぞなぞ」が中心に紹介されています。「翻訳できないなぞなぞ」は自力で解くことは非常に難しいですが、解説を読んだらしっかりと理解することができますよ。
満月と半月とでは、どちらが重いか?
Which is heavier, a full moon or half moon?
『英語なぞなぞ集』中村保男、岩波ジュニア新書
満月と半月とでは、どちらが重いか?
中学生向けの良問を一問抜粋しました。文法的には「Which is ~er, A or B?」の「AとB、どちらが~ですか?」の比較級ですね。中学生レベルの英単語を理解できているなら、正解にたどりつくことができます。
「どちらも同じ重さだ!」と即答した方は、頭をなぞなぞモードに切り替えてくださいね。それでは、ヒントとしてなぞなぞを解くときのアプローチをひとつ教えておきます。問題文の英単語から連想される類義語、反意語、同音異義語、連語表現などを列挙してください。「だじゃれ」のなぞなぞを解くときに有効な手段です。余談になりますが、日本語の言葉遊び「なぞかけ」=「~とかけて、~とときます。そのこころは?」と似ていますね。
おわりに
『英語なぞなぞ集』は1987年初版で現代的な感覚にそぐわないところもありますが、それもまたおもしろいところです。英語の知識・英語圏の文化に触れられるだけではなく、ユーモアの感覚も養うことができますから、英語が大好きな方にはもちろん、英語が苦手な方にも英語学習のきっかけとしておすすめです。ぜひ、読んでみてくださいね。