しんとう【新刀】
①新たに鍛えた刀。あらみの刀。
②慶長(一五九六 一六一五)以後に製作された刀。国広を最初の名工とする。あらみ。↔古刀。→新新刀
第9回の語は「しんとう【新刀】」。
「新しい刀」といっても、現代のナイフメーカーが作った最新商品という意味ではない。「新刀」とは、慶長年間(1596年〜1615年)以後に鍛えられた日本刀の分類名称である。日本刀は時代によって、「古刀」⇨「新刀」⇨「新新刀」⇨「現代刀」に分類される。「国広」とは堀川派の堀川国広のことである。
「新刀」の時代は、戦国時代から江戸時代初期頃。幕府の統制が徐々に広がり、刀の存在意義も変容する。かくして「刀」は武器から、美術品やステータスシンボルへ。実戦での実用性が求められた「古刀」に対し、「新刀」は、美術的な意匠や装飾的な彫り物などが施されるようになる。いわば刀剣の「実用品」から「文化財」への移行期、言いかえれば「映え」を追求するようになっていくのである。
ところで、このような時代区分は後世に便宜的に区切られているわけで、たとえば、大坂冬の陣・夏の陣などでは、「古刀」と「新刀」が混ざっていたのではないだろうか。後藤又兵衛と真田幸村もこういう会話をしていたかもしれない。
「真田ちゃん、真田ちゃん、見て、コレ」
「うわっ、後藤さん、マジっすか! 買ったんすか!?」
「いいでしょ、新刀。やっぱり、今の時代、新刀じゃないとね~」
「うわ~、かっこいいっすね! やっぱ、映えますね!」
……いや、さすがにそんなわけないか。けれども「新刀」は、江戸時代の「映え文化」の先駆けだったのかもしれない。