おもてだい【重手代】
手代の、おもだった者。古参で、営業上の事務を総理する手代。一代女五「ーの、頭にばかり智恵のある男を頼み」
江戸時代、商家の奉公人は「丁稚」⇨「手代」⇨「番頭」の順に昇進する。丁稚よりは偉いが、番頭さんには頭があがらない。それが「手代」である。いわば中堅クラスの実務担当だ。その中でも、経験豊富で特に信頼された手代を「重手代」と呼んだという。
落語にも商家の話がよくあるけれども、この中間管理職的ポジションの「手代」は、丁稚の面倒を見ながら、番頭さんにはぺこぺこしなければならない。なかなか気の毒なひとたちである。
今でいえば、「現場の回し役」とか「バイトリーダー」とか、そういうひとたちだろうか。とにかく、仕事を押しつけられるひとたちだ。しかし、こうした「重手代的存在」がいなければ、組織は回らない。実務も、調整も、苦情処理も、みんな重手代の背にかかっている。
とはいえ、そういうひとたちが「便利屋」扱いされて燃え尽きていくのも、また現場の常である。どうだろうか、あなたの所属するグループにも「重手代」はいないだろうか?