シケイロス【David Alfaro Siqueiros】
メキシコの画家。メキシコ革命に参加したのち、Dリベラらと美術家組合を結成。西欧の現代美術と力強い土俗的伝統との上に画風を確立。南米・北米各地で制作した壁画が著名。(一八九六 一九七四)
第14回の語は「シケイロス【David Alfaro Siqueiros】」。
メキシコの壁画家、ダビド・アルファロ・シケイロス(David Alfaro Siqueiros)。20世紀前半を代表する革命的芸術家である。
ディエゴ・リベラ、ホセ・クレメンテ・オロスコとともに「メキシコ三大壁画家」と呼ばれる。シケイロスの壁画はダイレクトに政治的メッセージを伝えている。メキシコ革命では、ベヌスティアーノ・カランサの「護憲軍」に参加。二度の国外追放、亡命中のトロツキー暗殺未遂事件への関与と続く経歴は、もはや「画家」というより「闘士」である。
彼にとって壁画は装飾ではない。革命の武器であり、大衆に訴えかける手段だった。美術館ではなく、政府庁舎や労働者のための建物に絵を描いた。だからこその壁画である。その画面は巨大で、劇的で、圧倒的だ。
美術に限らず、日本では「政治性」というものが忌避される。定義のあいまいな「政治的中立性」や「客観性」や「中庸」がもてはやされる。しかし、メキシコを見よ。シケイロスを見よ。政治から距離を置いて、はたして本当に芸術を創造することができるだろうか?