連載企画「今日の広辞苑」を始めることにした。手元の「広辞苑第七版」は3181ページ。4段組。乱数ジェネレーターでページ数と段数をランダムに指定、最後に任意の語を選び、短いエッセイを書くという企画だ。分量は毎回400文字前後を想定している。
すじえび【筋蝦・筋海老】
広辞苑第七版「すじえび」p.1561
テナガエビ科のエビ。体は半透明、黒褐色の細い横縞がある。体長約五センチメートル。湖・沼・川にすみ、北海道から屋久島に分布。移入され沖縄にも分布。食用。
さて、記念すべき最初の語は「すじえび」。特に「すじえび」のエピソードがあるわけでもないが、ランダムに選んだわけだからしかたがない。
「すじえび」を画像検索で調べてみると、広辞苑に書いてあるとおり、半透明の体に黒褐色の縞模様。なかなかグロテスクだ。いや、エビやカニなどの甲殻類を気持ち悪いと感じるか、ひとによるのかもしれないが、とにかく私は苦手だ。同じように感じるひとも多いのではないか。
甲殻類はヒトに本能的な恐怖を抱かせる。
学生時代、『えびボクサー』という映画をテレビの深夜放送で見たことがある。エビがボクシングをするのだ。いわゆるB級映画で内容はあまりにもくだらないのだが、ユーモアの裏に妙に気持ち悪さを感じたものだった。なぜ、ヒトは甲殻類に恐怖を感じるのか。そういえば、マンガ、アニメ、ゲームなどのサブカルチャーでも、甲殻類の怪物はグロテスクに描かれていることが多いのではないだろうか。
でも、私の大好物はエビチリだから本当に不思議だ。せっかくだから、今後機会があったら「すじえび」もいただくことにしよう。琵琶湖周辺の飲食店では、「琵琶湖八珍」として提供されていることがあるらしい。