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『資本論』マルクス 第3章「貨幣または商品流通」第2節「流通手段」

マルクス 資本論 外国文学

第3章「貨幣または商品流通」第2節「流通手段」は、a、b、c の3つの項から成り立っています。順番に見ていきましょう。

a. 商品の変態

マルクスは、「亜麻布20エレを2ポンドで売り、2ポンドを聖書と交換する」という商品流通の例を示します。このとき、商品の交換過程は次の式で表されます。

亜麻布20エレ2ポンド聖書
商品貨幣商品
W ー G ー W

※「商品=W(Ware)貨幣=G(Geld)
ドイツ語では「ヴェー、ゲー、ヴェー」と読む。

つまり、商品の交換過程は、次の二つの行為の連鎖です。

1. 販売行為=W ー G (商品の生命がけの飛躍)
2. 購買行為=G ー W

マルクスは、『経済学批判』の中で、販売行為を「商品の生命がけの飛躍」と呼びました。マルクスは次のように述べています。

「この飛躍が失敗すれば、商品は別に困ることもないが、商品所有者は恐らく苦しむ。社会的分業は、彼の労働を一方的に偏せしめると同時に、彼の欲望を多方面にする。まさにこのゆえに、彼の生産物が彼にとって用をなすのは、交換価値としてだけであることになる。しかしその生産物が一般的な社会的に通用する等価形態を得るのは、貨幣としてだけである」

つまり、商品が貨幣になるためには、当然、商品を売る必要がありますが、いつも商品を売ることができるという保障はない、ということです。需要がなかったら、亜麻布を売ることはできません。亜麻布職人は亜麻布を作ることしかできませんが、亜麻布には亜麻布の使用価値しかありません。貨幣を手に入れることができない、ということは、他の商品を入手することができないため、亜麻布の所有者にとって、死活問題です。だから、「生命がけ」というわけですね。

貨幣を媒介にして、商品変態は連鎖していきます。上述の例では、聖書を販売した聖書販売者は、2ポンドでウィスキーを購入することができます。このように、G(貨幣)が媒介となり、商品変態の連鎖は広がっていきます。この連鎖全体を「商品流通」と呼びます。

b. 貨幣の流通(ウムラウフ)

マルクスは「貨幣にたいして商品流通によって直接に与えられた運動形態は、その出発点から不断に離れることである」と述べています。亜麻布職人の2ポンドは、聖書販売者に手渡され、次に、ウィスキー販売者に手渡され、次々に移動していきます。商品流通とは、「貨幣の流通(ウムラウフ)」である、というわけです。

それでは、商品流通のために、必要な貨幣の量はどれくらいでしょうか。

・必要な貨幣量の計算方法

流通手段として機能する貨幣の量 = 商品の価格総和 ÷ 同一名目個貨の流通度数

まず、「商品の価格総和」とは、全商品の価格の合計のことです。

次に、「同一名目個貨の流通度数」とは、同一貨幣の流通回数の平均のことです。亜麻布職人が聖書に支払った2ポンドは、支払後に消滅するわけではありません。聖書販売者がウィスキーを購入するために、再び、使用します。だから、必要な貨幣の量を求めるためには、同じ貨幣が平均して何回使われているのか、を調べなければなりません。

商品の価格総和は次の式で求めることができます。

商品の価格総和 = 貨幣の量 × 貨幣の流通回数

右辺の「貨幣の流通回数」を左辺に移項して、最初の式が求められますよね。

結論として、必要な貨幣の量に影響を与えるものは、「商品の価格」「商品の総量」「貨幣の流通回数」の3点である、ということができます。

c. 鋳貨 価値標章

マルクスは「通用しているうちに金貨は摩滅する。(中略)金名称と金実体、名目含有量と実質含有量は、その分離過程を開始する」と述べています。

例えば、「1ポンドの重量の銀貨=1ポンド貨幣」で通用していたものが、銀が流通過程で摩滅するために、貨幣の名称と実際の重量が一致しない、という状況が発生しました。

というわけで、紙幣が登場しました。このように、金の代わりに価値を表すことを「価値標章」と呼びます。金、銀は、それ自体に価値があるため、通貨として機能することができましたが、なぜ、ただの紙切れが貨幣として通用することができるのでしょうか。実は、国家が紙幣に強制通用力を与えて、紙幣が金の価値を象徴していることを保障しているからです。

しかし、問題が発生します。金属通貨の場合、金、銀の量が必要な貨幣の量を上回ったら流通から除外され、下回ったら補充されることになりますが、紙幣の場合は国家がいくらでも発行できますよね。それでは、貨幣の適切な発行量はどのように決めたらよいのでしょうか。

マルクスは「紙幣の発行は、紙幣によって象徴的に表示されている金(ばあいによっては銀)が、現実に流通しなければならぬ量に限定さるべきである」と述べています。

マルクスが「紙幣流通の特殊法則は、ただその金にたいする代表関係からしか出てこない」と述べているように、紙幣の発行量も、金と銀が現実に流通しているはずの量に制限しなければいけない、ということですね。

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